? 世の中、たいていのサービスは、利用する前から「いくらかかるか」がわかるというのに、行政書士への依頼というのは「最終的にいくらかかるんだろう」と悩みどころです。
HPなど見れば金額のページは何かしらあるものですが、それを見たところで「……で、本当にこの金額ですむの?」と思われることもしばしば。
今回は、行政書士への依頼に、いくらかかるのかの基本の小話です。
そもそも行政書士のサービスには現在、基本的に金額の定めがありません。
八百屋でトマトを売るのに、一個78円にしてもいいし、148円にしてもいいのと同じです。ただし、一個1円や、1000円になってくると極端な話に……。
そこで、よりよいサービス価格を決めるために参考にするのが、日本行政書士会連合会が発表する「報酬額統計」です。
簡単に言うと、全国の行政書士が、どのサービスにどんな金額をつけているか。定期的に統計をとって、平均値を見やすくした表のこと。
これを見て、我々は「Aのサービスを、みんなはいくらで提供しているか」と見極めながら金額を決めていきます。
あとは、他の行政書士の先生の金額なども参考にしたりしなかったり……。
お客様に負担はかけたくないけれど、赤字にするわけにもいかない。ギリギリのせめぎあいに、他事務所の先生とお会いしても悩ましい話をお聞きすることがあります。
自由すぎるのも困りものですね。
ですが自由すぎて困るのは、お客様も同じこと。
例えばお客様が「遺言書作成」を依頼したい! という場合「自筆証書遺言なら〇〇円、公正証書遺言なら〇〇円」と、はっきりしているならまだいいのですが……相続全般のサービスの料金表なんて「財産が〇〇円だったら××円まで」「相続人が一人増えたらうんたらかんたら」「別途専門家への費用が~」なんて調子で、結局いくらなのかわからないことがどれだけ多いか。
そもそも相続全般のサービスは「料金表をみても、自分になんのサービスが必要なのかわからない」という方も多く、そうなるともはや予算のたてようもありません。
行政書士事務所の価格表を見てわかることなんてせいぜい「けっこう高いな」くらいのものじゃないでしょうか。
それでも頑張って、おおよそ金額の目安がついてきたところに、今度は「実費は別途頂戴します」とか、日当うんぬんとか、内容によっては追加料金とか不穏な言葉が……。
そこで活躍するのが「見積もり」です。
たまに「見積もり出してもらったら、もうここで依頼するしかなくなるから」なんておっしゃる方もいますが、そんなこと絶対ないので、見積もりは気軽にしてください。
三事務所くらい見積もりをとって見比べて全然いいんです。なんならそのための見積もりです。
そもそも、行政書士事務所の料金表が見づらい理由の一つに、お話を聞くまでお客様の事情がわからないことにあります。
何に困っていて、どうしたいのか。相続関連なら家族構成は、財産の種類は、専門家に頼りたい理由は……???
これを知らずして「あなたのお悩みサポートには〇〇円!」なんてわけにもいきません。
ご相談いただいて、はじめて、何にいくらかかるか。実費はいかほどになりそうか、他の専門家の協力を仰ぐ必要がある場合、それにいくらかかるか。といった見積もり書を作ることができます。
そして、見積もりが出たからこそできることもあります。
「質問」です。
例えば「なぜHPにあった金額と違うのか」なんて、気になりませんか?
見積もりにある金額以外で、追加で何かかかったりしないか?
前払い金とか、あるの?
これは、私が「お客様」の立場として士業の先生のお世話になったときの個人的な印象ですが、費用についての質問がしやすい先生ほど、その後の相談もスムーズでした。
もちろん個人差はありますが、聞きづらいことを聞くことで、依頼後の「?」に対しても気軽に質問できる人間関係ができたというのも一因でしょう。
行政書士の料金体系は、ともすれば何にいくらかかるか予想もつかないこともめずらしくありません。
だからこそ、見積もりと、質問。
この二つを気軽に利用して、気兼ねなく依頼できる事務所を見つけてみてください。
依頼するかどうか悩むのは、それからでも遅くありません。
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