歳を取った父親が、いつも口を酸っぱくして「この家は長男にやる!」と言っていたとして、父親が「この家を長男にやる」という遺言書を残していなかったらどうなるでしょうか。
もちろん効果はありません。
何しろ父親は、他の人には「家は次男に相続させる気なんだ」なんて全然違うことを言っている可能性だってあるわけですから。
長男はすっかり「いつも言っていたから、自宅は自分のものになるだろう」と思っていても、所詮それは口約束にすぎません。
相続人全員が納得しなければ、自然とこの家が長男のものになる可能性はなくなってしまうのです。
そもそも遺言書がない場合、基本的には故人の財産は「遺産分割協議」によって決めることとなります。
この「遺産分割協議」によって、相続人全員で、亡くなった人の財産をどうするか話し合います。
そして話し合った内容について、相続人「全員」の「この相続の形でいいよ」という同意があってはじめて、遺産の所有者を確定することができるのです。
つまり、相続人全員が「お父さんも生前ああいっていたことだし、自宅の建物は長男が相続していいよ」と同意しない限り、自宅は長男だけのものにはならないということ。
逆に言えば、たとえ遺言書がなくても、相続人全員が「自宅は長男のものでいいよ」と同意してくれれば、亡き父の口約束は実現可能ということです。
とはいえ、この「同意」には、全員の署名と実印などもいりますし、話し合いも簡単にまとまるとは限りません。
誰も納得しないままだと、最悪「裁判所で調停」なんていう話に発展することも珍しくありません。
こういったもろもろの事態を避けるために、財産の分け方にこだわりがあるのなら、やっぱり遺言書が一番頼りになりますね。
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